302 基本結晶構造 II
f-denshi.com  更新日:05/02/10

1.最密構造の一部原子を異種原子に置換した構造

最密構造からより複雑な構造へ発展させていく方向は2つありますが,その第一の方向は格子点(←ここでは原子がある位置(点)という意味だが正確な定義は後ほど[#])にある原子の一部分を別の種類の元素に置換することです。

fcc hcp bcc
Cu3Au 型 MgCd 型 CuZn 型

fcc,hcp,bcc 構造のサイトを2種類の元素によって占有している構造には,Cu3Au型,MgCd型,CuZn型 などがあります。

2.格子間位置 ( =格子間サイト )

[1] 結晶構造が多様化するもう一つの方向性は格子間位置に原子が入り込んでいくことです。3つの基本構造: fcc,hcp,bcc の原子(格子)間の隙間にさらに原子が挿入された結晶構造は自然界にも存在する重要な結晶構造を与えます。この格子間位置は高度な対称性をもっており,特別な名前がついています。下図の金色の原子が占める格子に対して,赤い球で示した位置は「四面体格子間位置(四面体サイト)」と「八面体格子間位置(八面体サイト)」と呼ばれています。

面心立方(fcc) 六方最密(hcp) 体心立方(bcc)
四面体格子間位置(赤)
面心立方(fcc) 六方最密(hcp) 体心立方(bcc)
八面体格子間位置(赤,青,灰,緑)

もちろん,上図の各基本構造中に赤球で示した位置はすべて結晶内において等価な位置であることに注意してください。
たとえば,fcc構造の青,灰,緑球で示した位置がどれも6個の金色球を頂点とする八面体の中心にあります。下図を参考にすると理解しやすいでしょう。

上図の はすべて結晶中の等価な位置にある。
NaCl構造(赤=Na,金=Cl)

つまり,fccの原子位置と格子間サイトは実質的にそれぞれ1種類の位置しかなく,それぞれに例えば,塩素イオン,ナトリウムイオンを配したものが塩化ナトリウム構造となります。

[2] この格子間位置(赤色)に,

(1)小さな原子(=格子間原子)が固溶した挿入型固溶体
(2)対イオンが存在するイオン結晶性化合物 ( fcc+八面体サイト ⇒ NaCl構造  ↑ )
(3)共有結合性化合物

などが自然界には存在します。これらのサイトはすべて占有されているとは限らず,部分的占有された結晶構造も数多く見られます。fcc構造の格子間位置がすべて異種原子に占有されているCaFホタル石型,部分的に占有されているZnS閃亜鉛鉱型などが具体的な例です。

[3] コランダム(α-Al2O3)に見られるイルメナイト構造では hcp 配列をもつ酸素の八面体サイトにアルミニウムが下図右のように ( ABAB・・・ ) 部分的に占有していますす。

A B
CaFホタル石型 ZnS(せん亜鉛鉱)構造 α-Al2O3(イルメナイト)型
[ 完全占有 ] [  部分占有  ]
他にもいろいろな結晶構造が存在しますが,残りは Appendix 1 でどうぞ。

[目次へ]