Appendix 2 相互誘導と自己誘導

 相互誘導、自己誘導 ともに本文中に提示した電磁気学の基本原理から必然的に導かれる現象ですが、電気回路を扱うときに抵抗・コンデンサーと並ぶ基本的な素子なので特別に取り上げて解説します。

1.相互誘導

[1]  抵抗の無視できる導線からできている2つのループ回路1と回路2 が右図のように近くに置かれているとします。  ビオサバールの法則によると、電流 I1が流れている導線の微小長さベクトルを ds とすると、この部分が任意の位置 r に作る磁場[#]は、

dH I1 ds×r
4πr3

となり、電流に比例します。(微分量ds は回路の幾何学的な形状にのみ依存し電流値とは無関係であることに注意!)また、 

BndS=Ψm  ; B=μ0H

でもある[#]ことから回路2を貫いている磁束 Ψm は電流 I1 に正比例することがわかります。

[2] 一方、ファラデーの電磁誘導の法則によると、閉回路を貫く磁束が変化した時には閉回路に起電力 V2 

V2 = − m
dt

が発生します[#]。これらを合わせ考慮 ( I1〜H〜B〜Ψm ) すると、相互インダクタンスと呼ばれる比例定数 M を用いて、

V2 = −M d I1
dt

と書けることがわかります。起電力の方向は回路1の磁束の変化を打ち消すような磁場が発生するような電流 I が引き起こされる向きです。(←右上図の黄色の矢印方向といったほうがわかりやすい!)
 M の値はコイルの形状・大きさ・巻き数や相対的な配置に依存し、単位は”ヘンリ−” [ H ]=[VsA-1] です。

2.自己誘導

[1] 自己誘導とは(とくに多数回)巻かれているひとつのコイルに流れている電流値が変化するときに観察される現象(見かけの抵抗モドキ)です。もっとも簡単な場合として2つのループがひとつの回路内に存在している右のような回路を眺めてみれば、「原理的に相互誘導と同じことが(右図の上と下のループで)起こっている。」と理解できますね。この場合、比例定数 L  [H] を用いて、

Vc = −L d I
dt

と表される逆起電力 Vc が発生します。比例定数 L は自己インダクタンスと呼ばれ、コイルの形状・大きさ・巻き数に依存します。電流値の変化によってコイル部分では上式に従う(変化に抗するような)電圧,電力の損失・利得が発生します。

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