9 電流が作る磁場:ビオ・サバールの法則
f-denshi.com  [目次へ] 最終更新日:03/05/18

前ページ8.で導かれた法則の微分形がビオ・サバールの法則です。

. ビオ・サバールの法則

 電荷の移動 ( =電流 ) によって生じる磁場の方向,大きさを与えるのがビオサバールの法則 (Biot-Savart Law) です。

ビオサバールの法則 

(1) 原点に電流 I が流れている導線の微小長さを ds とすると,この部分が位置 r に作る磁場は,
dH = I sinθ ・ ds  または, dH I ds ×r
4πr2 4πr3
で与えられる。ベクトルの向きは右下図参照。
 磁場はこれを導線全体にわたって積分して求まる(重ね合わせの原理)。

(2) 電荷 Q が速度v で動いているとき,位置r  に作る磁場は
H Qv ×r  = v ×ε0E  , ただし,E Qr
4πr3 4πε0r3
外積 ”×” については⇒[#],運動電荷,もしくは電流要素から位置を指すベクトルをr とします。

 この法則は実験事実としてそのまま受け入れることもできますが,クーロンの法則と相対性原理に基づいて必然的に導かれる(予測される)ものです。これを簡単に見ておきます。(きちんと示すには電磁ポテンシャルの知識が必要です。⇒[#])

[1] まず,線電荷密度σの無限直線が作る静電場が以下のような積分で計算される [#] ことを思い出して下さい。

dE = σsinθdz  , sinθ = R / r, r =( R2+z21/2
4πε0r2
⇒ 積分して, E =  σ
2πε0R

この最後の式が前章で求めた電流 I が流れる無限直線の作る磁場 [#]

H = I         ・・・・・・・・   [*] 
2πR

と同形 ( R に反比例 )であることに気がつきます。また,先に考察したように磁場がローレンツ短縮で生じる電荷 ( 電荷密度の変化 ) に起因することから電場と同様に重ねあわせの原理が適用され,各電流要素が作る磁場の総和( 積分 )で磁場を計算することが妥当だとわかります。結局,(σ/ε0) sinθdz ⇔ Isinθds という(数学上の)対応を考えて,磁場の微分要素は,

dH = I sinθ・ds
4πr2

とおけばよいことがわかります。これを積分すれば確かに [*] が得られます。磁場の方向まで考慮すると,

dH I ds×r
4πr3

とベクトルで書けることもわかります。これはビオサバールの法則に他なりません。

[2] また,電流 I ds は dQ ・v と書けるので,( I=dQ/dt , ds/dt=v

dH dQv ×r
4πr3

微分量 d の中身を見て,

H v ×(Qr v ×ε0E ; ただし,E Qr
4πr3 4πε0r3

が得られます。E はクーロンの法則から電場を導入したときの定義式[#]に倣ったものです。ただし,今の段階ではまったく形式的な電場の表現でしかありません。厳密なEH(〜B)との関係式はこちら⇒ [#]

[3] ビオサバールの法則の積分形を書いておきます。

ビオサバールの法則 [積分形] ( 09/06/11 追加 )

(1) 回路Cに定常電流 I が流れているとき,位置 r に作られる磁場,磁束密度は,
H I ds ×(rs)
|rs|3
B μ0I ds ×(rs)
|rs|3
(2) 位置sにおける電流分布 j (s) が与えられているとき,位置 r に作られる磁場,磁束密度は,
H 1 j (s)×(rs) d3s
|rs|3
B μ0 j (s)×(rs) d3s
|rs|3
で与えられる。

無限に長い直線電流が作る磁場の計算 (積分の具体的計算方法) はこちら⇒[#]

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2.円電流

[1] ビオサバールの法則を使ってリングに沿って回り続ける電流 [ 円電流 ] の中心線上にできる磁場を計算しましょう。これは,原子一つが作る磁場を説明する古典的な”分子電流”モデル[#]などで重要です。

円電流がその中心軸上で右図の原点から z の位置に作る磁場は積分後は z 成分(dH)z しか持たず,

(dH)z = dHcosα = dH・R/r, r = ( R2+z21/2

となります。また,電流と r とのなす角度は, θ=π/2;(sinθ=1) なので,ビオサバールの法則より,

(dH)z I sinθ ds R  = I Rds
4πr2 r 4πr3

電流リングの弧長sに沿ったスカラー関数の線積分[#]を行うと,s=(Rcosβ,Rsinβ)として)

Hz I R (Rdβ) =2π I R・R
0 4πr3 4πr3

よって,

H = IR2
2(R2+z23/2

円筒座標を使った計算方法はこちら⇒[#]

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