3 ガウスの法則
f-denshi.com  [目次へ ]最終更新日:03/05/15

1.ガウスの法則

 [1] クーロンの法則からガウスの法則と呼ばれる次の法則が導かれます。

[ガウスの法則](積分形)

 空間の任意の閉曲面をS とする。この閉曲面上の電場E の面積分は,

 E ・dS = 4πkQ = Q/ε
となる。ただし,Q はこの閉曲面内部に存在する全電荷である。

証明

 重ね合わせの原理 [#] が成り立つので,点電荷について示せば十分です。

 原点にある電荷Q の作る電場は[#]

E  = kQ・ r
 |r | 3

なので,

E ・dS = kQ  r ・dS
|r | 3

となります。

[2] ところが,右辺は点電荷から見た閉曲面の立体角の微分の定義[#], 

dΩ ≡ r ・dS 
r3

を用いれば,

E ・dS = kQ   = ( Q/4πε)

となります。    ( k = 1/4πε )

[3] ここで立体角の積分値は次の2通りが考えられます[#]

A.電荷が閉曲面の内部Oにあるとき,

dΩ=4π

B.電荷が閉曲面の外部O’にあるとき

dΩ=0 

この2つケース[#]をまとめてガウスの法則となります。

[4] 上の証明では議論を幾何学の問題(立体角)にすり替えています(厳密です)。ここでは,電場に関する面積分の物理的な意味(考え方)を考えてみましょう。
  右図は点電荷Qから電気力線が無限遠に向かってのびている様子を平面的に模したものです。閉曲線C1,C2は電荷を内部に含む閉曲面のつもり,C3は電荷を内部に含まない閉曲面の例のつもりです。電気力線の定義では電荷Qから出ていくその本数はQ/εで途切れることはありません。また,電気力線の(垂直成分の)面密度は電場E の大きさに比例することを思い出して下さい[#]
 すると,ガウスの法則の左辺=面積分の中身,E ・dS の意味 [#] はその微小面積dSを通り抜ける電気力線の本数を表すので,その閉曲面全体にわたるその積分とは閉曲面を外に向かって出ていく正味の電気力線の本数を表しているのです。
 したがって,その本数を右図を参考に数えると,

C1,C2の場合 ⇒ Q/ε 本 (Qから発するすべての電気力線)
C3の場合    ⇒  0  本   (進入本数=出てゆく本数)

であることは図を見ればすぐに理解できます。以上がガウスの法則の意味するところです。
(右図は2次元的に描いてますが,3次元の様子を思い浮かべることはそう難しくはないですね。)

[5] ガウスの法則の他の表現をまとめておきます。まず,微分形のガウスの法則と呼ばれるものです。アボガドロ数程度の原子が集まってできる物質の電磁気現象の記述では,電荷を点電荷の集まりとしてではなく,空間内に連続的に分布しているとみなす方が便利です。そのような場合,電荷分布は電荷密度ρ(r )を用いて表わされます。電荷密度を用いると,閉曲面S の内部V の全電荷量 Q は

Q =  ρ(r) dV

でえられます。一方,ベクトル解析のガウスの定理[#]によると,

 E ・ dS  ⇒   div E  dV

と書き換えられます。 よって,ガウスの法則は,

divE dV =  4πk ρ(r)dV

これが任意の領域 V について成り立つならば,積分内部を比較して,

ガウスの法則の微分形

   
divE  = 4πkρ(r ) =ρ(r ) / ε

が得られます。

[6] その他,ガウスの法則のいろいろな表現を列挙しておきます。 

ガウスの法則 いろいろな表現   
(1)   EndS = Q /ε
(2)   D ・dS =(Q/4π) dΩ  ( D =εE  として) 
D電束密度)についてはあとで ⇒[#]。 

また,曲面上(閉じてる必要はない)の面積分, 
 D ・dS = Ψe
(閉曲面のときは Ψe=Q  [ 真電荷 ](ガウスの法則) となります。)

電束といいます。すると,  

    (3)  divD =ρ(r )   [#]

詳しい説明は後ほど順に行っていきます。

.対称性のある静電場

 ガウスの法則は対称性のある電場を具体的に求めるときに大きな威力を発揮します。例としてよく用いられる電場をいくつか計算して見ましょう。

[1] 半径R の球の表面に一様に分布している電荷のつくる電場

電場は球対称性を持っているはずですから半径r の球面を考えたとき,この球面上のどこでも電場の大きさは等しく,方向はr の方向を向いています。したがって,半径R の球面上の全電荷=Q [C] とすれば,ガウスの法則より,

r > R のとき,

E・dS = E ・ 4πr2 = Q / ε0
∴ E = Q / 4πε0r2

r < R のとき,

E = 0

[2] 無限にのびる直線に一様に分布している電荷(線電荷密度σ’ [C/m]の作る電場

 電場は直線のまわりの回転に対して対称性を持っているはずですから,その中心に直線が通る半径 R の高さ L の円筒形を考え,この表面上についてガウスの法則を適用します。円筒形の上面と底面では対称性から打ち消し合って積分には寄与しませんが,側面では電場の大きさはどこも同じで,電場の方向は直線から放射状,言い換えると側面に垂直で外を向いています。したがって,

E ・ dS = E ・ 2πRL =(σ’L)/ε0
∴  E = σ’     [直線からRだけ離れた点で]
2πε0R

もし,ガウスの法則を用いないのであれば,次のように積分を行うことになります。

dE =sinθ σ’dz  ,sinθ = R / r, r =( R2+z21/2
4πε0r2
∴  E =  σ’sinθ dz = σ’
4πε0r2 2πε0R

[3] 無限に広がる板面に一様分布する電荷(面電荷密度σ [C/m2] )の作る電場

 電場は平板を境に上下の対称性を持っているはずですから,面対称になるような高さr の円筒を考え,この表面上についてガウスの法則を適用します

E・dS =2E・S (円筒の上下)+0 (円筒の側面) = σS / ε0
∴  E = σ     [方向は面と垂直外向き]
0

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