3 位置ベクトルの微分公式
f-denshi.com  最終更新日:04/02/25

1.位置ベクトル

1] ベクトルの中でもっとも基本的なものは空間内の座標位置を示す位置ベクトルで,3次元ユークリッド空間であれば,

ベクトル:r (x,y,z)=(x,y,z), その大きさ:|r |= r =
 x2+y2+z2

で表します。これらの微分に関する重要な公式です。

公式 [位置ベクトル]

r (x,y,z),および,r = |r | = (x2+y2+z2)1/2 の微分 ( 勾配 )

(1) ∇rn = n rn-2r  [ n:整数 ]    ←  ∇についてはこちら
     
   特に,
     ∇r-1 = -r-3r 
     ∇r = r-1r
(2) ∇log r = r-2r
(3) ∇r  = 3 
(4) ∇(ra ) = a      ( a : 定ベクトル )
(5) ∇(r-3r) = 0
(6) ∇2r-1 = 0   (r≠0),または,∇2 1 =-4πδ(r )  ⇒ [#]
r
(7) ∇×r  = 0
(8) ∇×(r2r ) = 0
(9) ∇× a a× r      ( a : 定ベクトル )
r r3

略証

(1) まず,                

∂r  =
 x2+y2+z2
 = x  = x
∂x ∂x
 x2+y2+z2
r

なので,(1)の左辺の x 成分は,

∂rn ∂r  = n rn-1  x   = n rn-2・x
∂r ∂x  r

したがって,

∇rn = (nrn-2・x, nrn-2・y, nrn-2・z)
   = nrn-2(x,y,z)
   = nrn-2r
(2) ∇log r ∂log r , ∂log r , ∂log r
∂x ∂y ∂z 

ここで, x成分は,

∂log r  ・ ∂r = r-1  x   = r-2・x
  ∂r ∂x  r

したがって,

   ∇logr = (r-2・x ,r-2・y ,r-2・z) = r-2 (x,y,z)
        = r-2r

(3) r ∂x ∂y ∂z  = 3
∂x ∂y ∂z
(4) ∇(ra ) = ∂(xa1+ya2+za3) , ∂(xa1+ya2+za3) , ∂(xa1+ya2+za3)
∂x ∂y ∂z

          =( a1,a2,a3 )=a

(5) ∇(r-3r ) = r ・∇(r-3)+ r-3r
           = r ・(-3 r-5 r )+ r-3・3
           = 0

(6) 左辺 = ∇・(∇r-1 ) = ∇(-r-3r ) = 0     ← (5)より

(7) x 成分について,

(∇×r )x成分 ∂z ∂y  = 0-0 =0
∂y ∂z

y,z成分も同様。

(8) ∇×(r2r ) = ∇r2×r + r2(∇×r )
            = 2r ×r  + r20
            = 0

(9)  a ax ay az と書くことにすると,∇ × a のx成分は,
r r r r r
az ay az -y -ay -z a × r のx成分
∂y r ∂z r r3 r3 r3

となります。y,z成分も同様です。

.近似法

[1] 物理学で頻繁に出てくる位置ベクトルの関係した近似法についてまとめておきます。

f(r ) = f(x,y,z) = 1  = 1
x2+y2+z2
r

とします。ここで,3変数関数のテーラーの定理を使うと,r =(x,y,z),Δr = (Δx,Δy,Δz) ; 0 < θ < 1 として,

1  = 1 r ・Δr  + 1  f(x+θΔx,y+θΔy)
r +Δr r  r3 2
1  = 1 r ・Δr  + 1  f(x+θΔx,y+θΔy)
r -Δr r r3 2

この導出はこちらを参照してください。  → [#]

[2] よく使われる変形をもうひとつ

f(r )=1/r =1/ (rr )

と内積を用いて表せるので,r とΔr のなす角度をθとして,

f(r +Δr )= 1
(r +Δr )・(r+Δr )
              = 1
r2+2r(Δr)cosθ+(Δr)2
              = 1
r 1+2(Δr/r)cosθ+(Δr/r)2

Δr << r として,

1  ≒
 
1
r +Δr
 r
 1 + 2(Δr)・cosθ
r


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位置ベクトル r=(x,y,z), s=(s1,s2,s3) に対して,Rrs ,R=|R| 

 ∇r , ,
∂x ∂y ∂z
A (R) = (A1(R),A2(R),A3(R))

とするとき,

 ∇rA (R) = ∂A1(R) ∂A2(R) ∂A3(R)
∂x ∂y ∂z
     = ∂R ∂A1(R) ∂R ∂A2(R) ∂R ∂A3(R)
∂x ∂R ∂y ∂R ∂z ∂R
     = ∂R ∂R ∂R
∂A1(R) ∂A2(R) ∂A3(R)   ←内積の意味です。
∂R ∂R ∂R
∂x ∂y ∂z
     =∇rR ・ A (R)
∂R