434 球面調和関数
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1.

[1] 球座標で表したラプラシアン [#]角度部分である微分演算子:

Λ  1 sinθ 1 2  ( ≡θ,ψ ) ・・・・ [*] 
sinθ ∂θ ∂θ sin2θ ∂φ2

を含む次のような微分方程式,

球座標におけるラプラス方程式

ΛY(θ,φ)+ν (ν +1)Y(θ,φ) = 0    ; ν = 0,1,2,  ・・・・ [**]  

の解を球面調和関数といいます。

[2] この微分方程式は,

Y(θ,φ)= P(θ)Φ(φ)

とおいて[**]  に代入すれば,

 sinθ sinθ ∂P(θ) + ν(ν+1)sin2θ = − 1 2Φ(φ)
P(θ) ∂θ ∂θ Φ(φ) ∂φ2

と,左辺はθだけ,右辺はφだけの関数に変数分離され,両辺がいつも等しい値をとるためには,両辺がある定数に等しくなければなりません。  そこでその値を m2 とおくとラプラス方程式[**]は,

2Φ(φ) = −m2 Φ(φ)                    ・・・・・・  (1) 
∂φ2
 sinθ sinθ ∂P(θ) + ν(ν+1)sin2θ = m2  ・・・ (2)
P(θ) ∂θ ∂θ

という2つの方程式を解くことに帰着されます。 (1)はすぐに解けて,

Φ(φ) = φm(φ) ≡ c・exp(i mφ),

一方,(2) は,変数を,x=cosθ, sinθ=(1−x2)1/2 と変数変換すれば [#]

(1−x2)P''(x)−2xP'(x)+ ν(ν+1)− m2 P(x) = 0
1−x2

と書き直されます。これはルジャンドルの陪微分方程式[#] です。 つまり,P(x)はルジャンドルの陪関数で与えられます。

[3] したがって,記号を改めて,

Y(θ,φ) ≡ Yνm(θ,φ) ≡ CνmPνm(cosθ)・φm(φ)

ここで,

ν =  0,1,2,・・・   
m = -ν,-ν+1,・・・,0,・・・,ν−1,ν   

であり,任意定数 Cνm は球面調和関数に規格化条件を課すことで定めます。 すなわち,

|Yνm(θ,φ)|2 dΩ = |Cνm2  |Pνm(x)|2|exp(i mφ)|2 dφdx = 1

という条件を加えれば,

 Pνm(x)・Pν'm'(x)dx =
(ν+m)!
(ν−m)!
2
2ν + 1
・δνν'δmm'
φ*m (φ)・φm' (φ)dφ =  exp(−i mφ)・exp(i m'φ)dφ = 2πδmm'

であることに注意して [#],

 Cνm =
2ν + 1 (ν−m)!
(ν+m)!

となります。

[4] まとめると,

ラプラス方程式,

     ΛY(θ,φ)+ν (ν +1)Y(θ,φ) = 0         ; ν = 0,1,2, ・・・・ 

の解は,球面調和関数, 
     Yνm(θ,φ) =
2ν + 1 (ν−m)!
(ν+m)!
 Pνm(cosθ)・exp(i mφ)
である。

 [5] この微分方程式の意味 ⇒ 軌道角運動量

L2 = −h2Λ    ⇒    L2Y(θ,φ) = ν (ν +1)h2Y(θ,φ) 

最後に球面調和関数の具体的な形を見ておくことも重要でしょう。

球面調和関数
Yνm θ-φ座標 デカルト座標 |Yνm2
ν =0 m=0
1
1
ν =1 m=0
3
 cosθ
3
z
r
m=±1
3
4π・2
 sinθ±iφ
3
4π・2
i y
r
ν =2 m=0
5
4π・4
(3cos2θ−1)
5
4π・4
3z2−r2
r2
m=±1
5・3
4π・2
(sinθcosθ)±iφ
5・3
4π・2
z(x±i y)
r2
m=±2
5・3
4π・8
sin2θ・±2iφ
5・3
4π・8
(x±i y)2
r2
ν =3 m=0
7
4π・4
(5cos2θ−3cosθ)
7
4π・4
z(5z2−3r2)
r3
m=±1
7・3
4π・16
(5cos2θ−1)sinθ・±iφ
7・3
4π・16
(x±i y)(5z2−3r2)
r3
m=±2
7・15
4π・8
cosθsin2θ・±2iφ
7・15
4π・8
z(x±i y)2
r3
m=±3
7・5
4π・16
sin3θ・±3iφ
7・5
4π・16
(x±i y)3
r3
*  デカルト座標表示は,r = 1 として,表記することもあります。

以上,球面調和関数を複素関数としてそのまま使いましたが,実用上は基底をとり直した立方調和関数 [#] がよく使われますのでそちらも参考にしてください。

デカルト座標を球面調和関数で表すと,

x =
3
r {Y1-1(θ,φ)+Y11(θ,φ)}
y = i
3
r {Y1-1(θ,φ)−Y11(θ,φ)}
z =
3
 r Y10(θ,φ)

[補足1]

変数を,x=cosθ, sinθ=(1−x2)1/2 と変換すれば[#],

dx = −sinθ・dθ = −(1−x2)1/2
 d =−(1−x2)1/2  d
dx
d2 =  − d(1−x2)1/2  d −(1−x2)1/2  d  d
2 dx dx
    =  − d(1−x2)1/2 dx  d +(1−x2)・ d2
dx dx dx2
    =  −x ・ d  + (1−x2)・ d2
dx dx2


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以下メモが書き

球面調和関数との関係

Yνm(θ,φ)?= (−1)(m+|m|)/2  (2ν+1)(ν -|m|)! 1/2 exp(imφ)・Pν |m|(cosθ)
 4π(ν+|m|)!

2 V = 0 の解は

V(x,y,z)= αnrn   βn × Pn(cosθ)+ Σ (amcosmφ+bmsinmφ)Pmn(cosθ)
 rn+1